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特別インタビュー|鈴鹿サーキット×ラクスルで描く、 F1日本GP 新たなグッズ展開への挑戦

今回インタビューにご協力いただいた
ホンダモビリティランド株式会社 本社 ビジネスマーケティング部 美淋幹都 様

2025年4月に行われたF1日本グランプリでは、鈴鹿サーキットとラクスルが共に連携し、新たなグッズ展開に挑戦いたしました。

鈴鹿サーキットにとって、従来のグッズ販売の枠を超えた新たな試みとなる今回のプロジェクト。
公式グッズをより多くのファンの方々に届け、楽しんでもらえるよう、鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランド株式会社様とラクスル株式会社がタッグを組み、ファン参加型のグッズ投票企画の開催と、ECサイトを活用したオンデマンド生産という新たな販売手法の導入を実施しました。

・オリジナルグッズ販売サイト:https://novelty.raksul.com/raksul_f1_design_voting_2025
・関連ニュース:ラクスル、鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドとサステナビリティパートナーシップ締結のお知らせ

本記事では、今回の取り組みへの背景や意図。そしてF1を愛するファンの皆さまへ届けるグッズ販売への想いについて、ホンダモビリティランドの美淋幹都様にお話を伺いました!

 

F1の価値。日本でも広がる人気について

── まず始めに、F1の魅力についてお聞かせください。近年の人気動向はどのようなものなのでしょうか。

美淋様:F1の世界的な価値は確実に高まってきています。Netflixのドキュメンタリーが配信されるようになってから、アメリカを中心に若年層の関心が高まりました。ラスベガスでの新規大会開催など、世界的にF1自体の価値も上昇傾向にあります。
日本においても、来場者数は年々増加し、2025年は2019年の鈴鹿でのF1再開以来過去最高の26万6千人のファンが来場しました。

 

── それはすごいですね。F1ファンの特徴的な点はございますか?

美淋様:F1ファンは非常に熱狂的なコアファンが多いですね。例えば一着数万すると言われているチームのレプリカウェアも、多くのファンが身につけて観戦したり、中には自分でオリジナルのグッズを作るほどのこだわりを持つファンもいらっしゃいます。
各チームや選手に対する思い入れも強く、特定のドライバーやチームを応援されている方が多いのが特徴です。

 

── 改めてファンにとって「F1日本グランプリ」「鈴鹿サーキット」とはどんな存在なのでしょうか?

美淋様:鈴鹿サーキットは、日本国内で唯一F1日本グランプリが開催されるサーキットとして、国内外のモータースポーツファンから高い評価を受けています。
鈴鹿サーキットはF1日本グランプリの開催地として長い歴史を持ち、多くのタイトル決定戦の舞台となってきました。遠方から足を運んでくださるファンも多く、日本のF1ファンにとって鈴鹿サーキットは特別な場所であり、国内外のファンからも愛されています。
さらに、これまでは秋開催だったのが2024年から4月開催に移行され、今年も桜の時期でより日本らしい、新たな景色を見ることができました。

 

ファンから寄せられた鈴鹿サーキットへの想い

"去年は沢山の外国から来てる方がいらっしゃいました。
 鈴鹿は日本人の誇りです。"

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"30年来のF1ファンです。鈴鹿サーキットは、日本におけるF1の聖地だと思っています。
 今もこれからも「SUZUKA SPIRITS」に期待しています。"

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"桜が咲いてる鈴鹿を昨年初めて訪れました。こんなに桜とレーシングカーが綺麗に映えるのはこの鈴鹿しかないと思います。"

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"今年もF1は春開催
 桜とコラボで世界にも日本の美しさを見せれるレースサーキットです。
 これからも世界へ向けて発信し続けて欲しい!!"

 

F1グッズ販売の現状と課題

── やはりファンの熱意からしてもグッズ展開の需要は高そうですね。現在のF1グッズ販売における課題についてお聞かせください。

美淋様:F1日本グランプリのような大規模イベントでは、3日間で20万人規模のお客様にご来場いただきます。そのため、どの商品がどれくらい売れるのか、その需要予測が非常に難しい状況です。アイテムによっては販売を開始した次の日には売り切れてしまうこともあり、逆に思ったよりも残ってしまうケースもございます…。在庫管理やその後のセール対応に追われることもありました。

 

── そうした課題に対して、どのような対策を検討されているのでしょうか。

美淋様:対策としては大きく二つ考えています。
発注先を一本化して管理をシンプルにすることと、オンデマンド生産を活用することです。
これまで商品によって様々なサプライヤーと取引がありましたが、その管理工数も課題だったため、できるだけ発注先を集約することで、業務の効率化を図りたいと考えています。
また、小ロット多品種の印刷が強みであるオンデマンド生産も活用することで、余剰在庫を抱えるリスクを最小限に抑え、より柔軟に対応できるようになります。

そういった意味でも、今回ラクスルと共催し、少量生産・オンデマンド販売を実施したことで、私たちが大切にしているグッズの「デザインの多様性」「販売の柔軟性」の両方を実現することができました。

 

── 実際にラクスルのサービスを利用してみて、どのような変化がありましたか?

美淋様:これまで物理的な店舗でしか販売できなかったグッズが、オンラインで手軽に購入できるようになったのは大きな変化ですね。事前にオンラインで購入いただくことで、イベント前から高揚感が湧き、当日をより楽しみにしていただける効果もあります。自分の分と合わせて、当日参加できない方へのお土産として購入するというお声もいただきました。

新たなグッズ展開への挑戦

── 今年のデザイン投票はすごく話題になりましたが、初めてファン参加型のデザイン投票を実施されて、ファンの皆様の反応はいかがでしたか?

美淋様: 鈴鹿サーキット独自の価値を高めていく取り組みとして、ファンの皆様と一緒に作るグッズを企画し、デザイン投票を実施しました。
予想を上回るたくさんの投票があり、多くのファンから熱意のこもったコメントをいただき私たちも驚きました!

 

実際にいただいたファンからのコメント

"とても面白い企画でした。欲しいと思えるデザインがたくさんありました。これらのTシャツを着て観戦に出掛けたいです。"

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"ここ数年、現地で観戦することが1年に1回の大イベントになっています。レースを楽しむことはもちろん、現地の雰囲気もとても大好きです。自分の選んだデザインのグッズを身につけて、観戦楽しみたいです!"

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"これまで鈴鹿開催のF1日本GPを全戦観戦中です。今年の観戦も今から楽しみでなりません。想い出のオリジナルグッズも毎年買い集めて、かなりの量となりましたが、今年も勿論購入します。こちらも今から楽しみでなりません。"

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"子供達が成人して、家族で出かける事があまり無くなりました。
でも、鈴鹿サーキットのモータースポーツイベントだけは家族全員で毎年観戦してます。
いつか孫を連れて全身推しチームのグッズを着せて観戦するのが夢です。
鈴鹿サーキットは子どもから大人まで楽しめるので本当に良いですね。"

 

── 具体的にはどのようなデザインを用意されたのでしょうか。

美淋様:今回は大きく5つのテーマでデザインを展開しました。桜をモチーフにした春らしいデザインや、モータースポーツ好き向けのかっこいいデザイン、ファミリー向けのかわいいデザインなど。幅広い層に向けてバリエーション豊かに50種類ご用意しました!

5つのテーマで展開された全50種類のデザイン。ボディにはPrintstarの5.6オンス綿100%Tシャツを使用
2025春 鈴鹿サーキットオリジナルグッズオンラインショップはこちら

侍 (サムライ) の精神をレースに重ねたクールなデザイン

サーキットでのレースの魂をモチーフにしたシンプルなデザイン

 

──素敵なデザインがたくさんありますね。今回ご用意いただいたグッズはどのような役割を果たすとお考えですか。

 

美淋様:グッズには大会当日の一体感を演出する役割と、日常生活の中で使用できる実用性という二つの重要な側面があると思っています。
例えば、マグカップや手ぬぐいなどの日用品は、大会が終わってからも、家庭での使用を通じて楽しい思い出を振り返るきっかけとなってくれます。
そこから『また来年も行きたいね』という会話が生まれ、リピート来場に繋がっていく。
そういった日常的な接点を作る重要な役割を持っていると私は信じています。

 

オンデマンド生産がもたらす可能性

─オンデマンド生産について、どのような可能性をお考えでしょうか。

美淋様:オンデマンド生産によって、もっとリアルタイムで盛り上がれる仕組みづくりを作っていきたいですね。
例えば、予選でポールポジションを獲得した選手のTシャツをその日のうちに販売したり、決勝レースの名場面を翌日にグッズ化したりなど。まだアイディアの段階ですが、レース結果と連動することで新しい観戦体験を提供できればと考えています。

 

── もしそうした "リアルタイム性" が実現した場合、どのような価値が生まれると考えていますか?

美淋様:これまでレース観戦の思い出は、写真や動画で切り取られるものでした。
しかし、オンデマンド生産が実現すれば、特別な瞬間をより形あるものとして所有できる可能性が広がります。
予選直後の興奮さめやらぬ時に、ポールポジション獲得の記念Tシャツを注文する。
決勝での劇的な逆転シーンを、翌日にはグッズという形で手元に残せる。
そういった、熱狂の瞬間をリアルタイムで形にできる世界が実現できたら嬉しいですね。

──もしオンデマンド生産が実現した場合、ファンの体験はどのように変わると思われますか?

美淋様:従来のグッズ販売では、在庫リスクの観点から『その瞬間限定』の商品展開は難しい状況でした。しかし、オンデマンド生産が実現すれば、予想外の出来事が起きた時に、それを即座に商品化できる。あるいは、ある特定の2秒間の出来事だけをフィーチャーした限定アイテムを作るのも可能です。
そういった、今までは実現できなかった形で、レースの興奮と感動を形にできるのは、きっとファンにとっても新たな感覚のはずです。グッズ展開においても、様々な可能性が広がると思うとすごくワクワクしてきます。

 

将来のグッズ展開への構想

── 今後のグッズ展開についてのビジョンをお聞かせください。

美淋様:一つの方向性として、事前の反応を見ながら商品展開を決定していく仕組みを考えています。例えば、開発段階のデザインを全てオンラインで公開し、反応の良かったものを実際の会場販売用として製作する。これにより、一部のコアなファンにしか需要がないデザインはオンラインでのみ提供し、より幅広い層に支持されるデザインを会場で販売する。そういった効率的な展開ができればと考えています。

 

──ファン参加型の取り組みについては、今後どのような展開を考えていますか?

美淋様:今回のデザイン投票の成功を踏まえ、次のステップとして実際にファンの方々にもデザインを考案していただき、投票で商品化するような企画もやってみたいですね!
また、『どんなグッズが欲しいですか?』といった形で、商品企画の段階からファンの声を取り入れていくことも視野に入れています。

 

地域ブランドとしての展望

── 最後に、鈴鹿というブランドについての今後の展望をお聞かせください。

美淋様:鈴鹿サーキットは、鈴鹿市のシンボル的な存在として認識いただいています。
今回のグッズ展開でも『SUZUKA』という文字を前面に出すことで、サーキットの枠を超えた地域ブランドとしての価値向上も目指しています。
例えば、このTシャツを東京の街中で着ていただくことは、鈴鹿サーキットのプロモーションになると同時に、鈴鹿市のシティプロモーションにもつながります。F1の開催地として、鈴鹿という地域ブランドを世界に発信していけたらと考えています。

おわりに

F1というグローバルコンテンツと、鈴鹿という地域ブランドの価値向上。グッズ展開を通じて、その両方の実現を目指す鈴鹿サーキットの挑戦は、まだまだ続いていきます。

今回ラクスルと共に実現したオンデマンド生産とグッズ展開。オリジナルグッズを通じ、鈴鹿サーキットを盛り上げると共に、日常に戻ってからも冷めない熱狂と興奮を与え続けられることを目指します。
これからのモータースポーツに新たな楽しみ方を創出することを期待しております!
貴重なお時間ありがとうございました!