Tシャツ

パロディしたデザインでオリジナルTシャツを作成する際の著作権について

アニメのキャラクターやブランドのロゴマーク、歌詞や小説のワンフレーズ、芸能人の顔写真などがプリントされたオリジナルパロディTシャツは、原則として権利者の許可がない場合は制作できません。著作権や商標権、肖像権などを確認してからオリジナルパロディTシャツを制作しましょう。

 

オリジナルパロディTシャツと著作権・商標権の関係

既存のアニメキャラクターや企業のロゴマーク、歌詞などをプリントしたオリジナルパロディTシャツを制作する場合、著作権や商標権に留意しなくてはなりません。著作権や商標権で保護されるデザインなどを第三者が著作権者の許可なく複製・改変した場合、著作権や商標権の侵害となります。

著作権とは、個人や企業が作った著作物(思想や感情を創作的に表現したものであり、文芸や芸術、美術、音楽の範囲に属するもの)を保護するための権利です。著作権は申請や登録をしなくても著作物が生み出されたと同時に自然発生し、著作者は権利を有する著作権者になります。

商標権は、企業や団体の商品商標(トレードマーク)や、役務に使用される役務商標(サービスマーク)の保護を目的とする権利です。商標権は、特許庁に出願・登録をすると取得できます。

著作権や商標権を侵害すると、10年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金などの刑事罰が科される場合があります。

 

パロディTシャツの制作が著作権や商標権の侵害となる具体例

キャラクターやブランドのロゴマークを使ったパロディTシャツの作成

アニメキャラクターや企業のロゴマークなどに変化を加えてパロディTシャツを制作する場合は、原則として著作者や商標権者の許可が必要です。

 

ただし、著作権法第30条には「著作物は、個人的にまたは家庭内などの限られた範囲内において使用することを目的とするときは、その使用者のみが複製できる」と記載されているため、私的利用であれば著作物を自由に使用できる場合があります。

 

例えば、Tシャツにキャラクターのイラストを描いてパロディTシャツを自作した本人が、自宅内でTシャツを着るケースなどです。

 

一方で自作したパロディTシャツを友達に配布したり、パロディTシャツをたくさんの人の目に触れる場所で着たりする場合は、私的利用として認められず著作権の侵害となります。

 

パロディTシャツ制作をネットプリントサービスに依頼する

ネットプリントサービスに依頼してパロディTシャツを制作すると、個人的または家庭内などの限られた範囲内においての使用ではなくなるため、著作権の侵害に該当します。個人的に使用する目的のパロディTシャツであっても、ネットプリントサービスに制作を依頼することはできません。

 

歌詞や小説のワンフレーズをTシャツにデザインする

歌詞や小説のワンフレーズをパロディTシャツにデザインすることはできません。歌詞や小説のワンフレーズなども著作物にあたるためです。邦楽や洋楽問わず、著作権のある楽曲のほとんどをJASRACが管理しています。歌詞を使用したい場合はJASRACの許可をとりましょう。

 

オリジナルパロディTシャツ制作と肖像権との関係

 オリジナルパロディTシャツに人物の写真や似顔絵をデザインする場合は、肖像権の侵害にならないように配慮しましょう。肖像権とは、顔や容姿といった個人の肖像に対して発生する権利です。

 

肖像権は、プライバシー権とパブリシティ権の二つから成り立ちます。プライバシー権は、個人の姿や情報などの私生活での事柄を守るための権利です。友人が写っている写真を本人の許可を得ずにSNSにアップした場合などにプライバシー権侵害となる可能性があります。

 

パブリシティ権は、タレントやスポーツ選手などの著名人の肖像に経済的な価値があると考え、保護する権利です。肖像権は明文化されていない権利ですが、侵害にあたると民事訴訟で訴えられて損害賠償を求められるケースがあります。

パロディTシャツのデザインが肖像権の侵害になるケース

 

第三者の写真をプリントしたパロディTシャツの制作

友人など、第三者の写真や似顔絵を本人の許可なくTシャツにプリントした場合、プライバシー権の侵害にあたり肖像権違反になる可能性があります。友人といった親しい間柄でも、写真や似顔絵を使用する場合は本人の許可が必要です。

 

芸能人の顔写真入りパロディTシャツの制作

芸能人本人や所属事務所に無断で芸能人の顔写真や似顔絵をプリントしたTシャツを制作した場合、パブリシティ件の侵害となる可能性があります。 

オリジナルパロディTシャツを制作する方法

オリジナルパロディTシャツを制作する場合は、次の3つの点に気をつけて作成しましょう。著作権侵害を防ぎ、オリジナルTシャツを制作する方法については、次の記事でもご紹介しています。

▷オリジナルTシャツを作るときに著作権侵害となるデザイン例を解説

 

著作者などの権利者から利用許諾を得る

パロディTシャツを作成する場合は、オリジナルデザインの著作権者や商標の管理者、肖像権者に連絡を取り、利用許可を得ましょう。なお、著作権や商標権の権利が第三者に譲渡されている場合があるため、権利者を確認後に許可をもらうようにしてください。

 

著作権の保護期限が切れたデザインをパロディTシャツに使用する

著作権には保護期限があり、原則は著作物を制作した時点から著作者の死後50年(映画の著作物は公表後70年)です。保護期限が切れたデザインは、自由に使用できます。

ただし、著作権の保護期限が切れても著作者人格権は存在しています。著作者人格権とは、創作者が精神的に傷つけられないように保護する権利です。著作者人格権により作者の人格や精神を中傷するような作品の改変などは禁止されています。著作権の保護期限が切れたデザインなどを使用する場合も、オリジナルデザインへ敬意を払い使用しましょう。

 

著作権フリーの素材を使う

著作権フリー素材の場合、著作権者への連絡をせずに使用できます。ただし、著作権フリー素材の提供元が利用目的を制限していたり、素材の加工を禁止していたりする場合があるため、利用規約をよく読み、規約を守って使用してください。