転写プリントの特徴
転写プリントの特徴
転写プリントは、転写シートにデザインをプリントし、熱と圧力で生地に転写する手法です。版の作成費用がかからないので、小ロットで発注する場合に費用を抑えてプリントできます。
転写シートのデザインは、インクジェットプリントと同様にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクをかけ合わせて印刷されています。そのため、金や蛍光色などの特殊な色はプリントできませんが、フルカラーで色鮮やかに印刷可能です。写真やグラデーションを印刷したい場合に適しています。
転写プリント方法の種類
転写プリントには主に3種類の印刷方法があります。それぞれ対応できる素材やプリント後の質感などが異なります。
転写プリント方法の種類
転写プリント方法 | 熱転写プリント(デジタル転写プリント) | オンデマンド転写プリント(DTFプリント) | 昇華転写プリント |
版の作成 | 不要 | 不要 | 不要 |
綿素材へのプリント | 対応 | 対応 | 非対応 |
ポリエステル素材へのプリント | 対応 | 対応 | 対応 |
伸縮性の高い素材へのプリント | 非対応(伸ばすとプリントが割れる) | 対応(伸ばしてもプリントが割れにくい) | 対応(伸ばしてもプリントが割れない) |
プリントする生地の色 | 制限なし | 制限なし(白引きが必要) | 制限あり(濃色の生地にプリントすると色が沈む) |
プリント部分の質感 | 硬い | やや硬い | 柔らかい(インクが生地に浸透する) |
デザインの光沢 | あり | あり | なし |
デザインのフチ | 残る | 残らない | 残らない |
プリントの剥がれやすさ | 剥がれにくい | 剥がれにくい | 剥がれない |
転写プリントで最も安く印刷できる熱転写プリント
熱転写プリントはデジタル転写プリントとも呼ばれ、デザインがプリントされた転写シートを熱で圧着するプリント方法です。転写した部分は硬くごわごわとした質感になり、通気性が失われます。また、生地の伸びによってデザインが割れる場合もあります。
転写シートを貼り付けるという印刷方法の特性上、白インクで下地を作らなくとも生地色の影響を受けずにプリントが可能です。転写プリントの中で最も安く印刷できるため、コストの削減を重視する場合に適しています。
綿素材の通気性を確保できるオンデマンド転写プリント
オンデマンド転写プリントはDTFプリントとも呼ばれ、転写シートのインクが乗った部分を転写するプリント方法です。熱転写プリントほどではないものの、印刷部分の生地が硬くなります。
シートを貼り付けるわけではないため、通気性が大きく損なわれることはありません。3種類の転写プリントのうち、通気性を失わずに綿素材へ印刷できるのはオンデマンド転写プリントのみです。
生地の質感を損なわない昇華転写プリント
昇華転写プリントは、転写シートに熱を加えて気化したインクを生地に染み込ませる印刷方法です。ポリエステル素材のみにプリントできます。黒や紺などの濃色の生地にプリントした場合、色が沈んでしまいデザインが美しく表現されませんが、淡色の生地では鮮やかな発色です。
インクが生地に浸透することから、光沢がなく柔らかな質感に仕上がります。デザインが割れることもないため、伸縮性の高いストレッチ素材へプリントしたい場合におすすめです。さらに、耐久性が非常に高く、洗濯を繰り返してもデザインが剥がれません。
転写プリントで作成したオリジナルTシャツの注意点
熱転写プリントやオンデマンド転写プリントは、洗濯によりデザインが剥がれるリスクがあります。剥がれを防ぐために、裏返してネットに入れた状態で洗濯しましょう。洗濯が完了したら、乾燥機を使用せず裏返した状態のまま陰干しすると、プリント部分の劣化を防げます。また、熱転写プリントでは生地が硬くなり通気性が失われるので、広範囲の印刷は避けるのがおすすめです。
自分でオリジナルデザインを転写できるアイロンプリントシート
アイロンプリントシートは、アイロンの熱でデザインを布に転写できるシートです。インクジェットプリンタでデザインをアイロンプリントシートに印刷すれば、フルカラーのデザインもプリント可能です。なお、手書きのデザインもスキャナーで取り込んでシートに印刷すれば転写できます。
アイロンプリントシートは、アイロンの熱でデザインを転写するだけで仕上がること、1枚500円程度で購入できることから、初めての方も取り組みやすいプリント方法です。
アイロンプリントシートを使ったプリントに必要な材料や細かい手順については、こちらをご覧ください。