キャンバス生地のお手入れのポイント
トートバッグやスニーカーなどキャンバス生地のアイテムは、使い込むにつれてどうしても汚れが目立ってきます。洗うことで風合いが変わったり、シワになったり、縮んでしまったりすることはないのか、気になるところです。たとえば、トートバッグは洗濯機で洗っても大丈夫なものなのでしょうか?
こちらでは、キャンバス生地のアイテムのお手入れの方法や注意点を紹介していきます。
キャンバス生地の汚れの原因
キャンバス生地は帆布とも呼ばれる、平織りの厚手の生地のことです。素材は綿が使われることが多いですが、麻のキャンバス生地や、合繊繊維のポリエステル混紡のキャンバス生地もあります。
キャンバス生地は、丈夫で通気性がよいことが特徴です。こうした長所の反面、キャンバス生地に使われることの多い綿は吸水性が高く縮みやすい素材です。また、麻も比較的縮みやすい素材で、特に高温のお湯で洗うと縮みやすくなります。一方、ポリエステルは縮みにくい素材です。100%よりもポリエステルとの混紡のキャンバス生地の方が縮みにくく、シワにもなりにくいです。
そんなキャンバス生地は、平織りの糸が交差する織り目の部分に汚れがたまりやすい傾向があります。汚れとして多いのは手垢やホコリで、トートバッグでは持ち手の部分に手垢がつきやすいです。また、保管状態によっては、黄ばみやカビが発生してしまうこともあります。
汚れの状態などによって、ブラッシングで落とす、部分洗いをするといった方法が検討されます。
キャンバス生地のお手入れのポイント
キャンバス生地の汚れが気になるときのお手入れのポイントについて、方法別に紹介していきます。
●小さな汚れには消しゴムも効果的!
●汚れが目立つ箇所を手洗いする
●全体の黄ばみが気になるならつけ置き洗い
●漂白剤は使えるかどうかを見出しにする
●洗濯機の場合はシワや型崩れに注意
●シワを伸ばして陰干しで!
●アイロンは洗濯表示を確認
●ブラッシングで汚れを落とす
●防水スプレーでキレイを保つ!
小さな汚れには消しゴムも効果的!
キャンバス生地のスニーカーのソールのゴムの部分の汚れや、キャンバス生地の表面についた小さな汚れは、繊維の奥までしみ込んでいなければ、消しゴムで落ちることがあります。 文房具の消しゴムのほか、キャンバス生地のスニーカー用の消しゴムも市販されています。消しゴムでこすって汚れを落とすときも、力を入れすぎると生地を傷めてしまうことがあるため丁寧に行いましょう。
汚れが目立つ箇所を手洗いする
キャンバス生地のトートバッグの持ち手やポケットなど、汚れが目立つ箇所がある場合には部分的に手洗いをします。
部分的に手洗いするときには、洗濯用の固形石鹸と歯ブラシ、タオルを用意して、次の手順で行います。
1. 汚れが気になる箇所を水で濡らす
2. 汚れている箇所に固形石鹸を塗る
3. 歯ブラシで汚れをかき出すように落とす
4. 洗剤の成分が残らないように、水でしっかりとすすぐ(汚れが落ちない場合には、1~4を繰り返す)
5. タオルにはさむなどして水分を拭き取る
6. 日陰で風通しのよい場所に干す
歯ブラシで強くこすりすぎてしまうと、生地が毛羽立つなど傷んでしまうため注意してください。また、すすぎが十分ではなく、洗剤の成分が残ってしまうと黄ばみの原因となります。
全体の黄ばみが気になるならつけ置き洗い
全体的に黄ばみが目立つケースなどでは、つけ置き洗いをします。
トートバッグなどをつけ置き洗いする場合は、洗面器と中性洗剤、タオルのほか、汚れがひどい箇所がある場合には固形石鹸と歯ブラシも用意して、次の手順で行います。
1. 中性洗剤の分量の指示に従い、洗面器にぬるま湯または水と中性洗剤を入れて、洗剤液を作る
2. トートバッグの持ち手など汚れが目立つ箇所がある場合は、固形洗剤を塗った後、洗浄液に30分程度つけておく
3. 汚れがひどい箇所を歯ブラシでこする
4. 全体を押し洗いする
5. 水を何回か取り替えながら、泡がなくなるまですすぐ
6. 軽く絞った後、タオルに挟んで水分をとる
7. 軽くたたいてシワを伸ばした後、日陰で風通しのよい場所に干す
洗剤の成分が残ると黄ばみの原因になります。すすぎはしっかり行いましょう。
漂白剤を使う場合は酸素系
キャンバス生地に漂白剤を使用すると、色味や風合いが変わってしまうことがあるため、漂白剤の使用は避けるのが基本です。しかし、つけ置き洗いでは改善されない黄ばみやカビがあるときは、「酸素系」の漂白剤を使うという選択肢もあります。
漂白剤には塩素系と酸素系がありますが、塩素系の漂白剤は漂白作用が強く染料まで脱色してしまうため、真っ白な衣類やタオルに向いています。生成り色のキャンバス生地に向いているのは、穏やかな作用で色柄ものにも使える酸素系の漂白剤です。
洗濯機の場合はシワや型崩れに注意
洗濯機で洗うと手洗いよりも手間は省けますが、シワができやすく型崩れを起こしやすいので、基本的にはおすすめできません。しかし、何年も使っていて何度か手洗いをしたトートバッグなど、すでに風合いが経年変化している状態であれば、洗濯機で洗うことも選択肢となります。ただし、洗濯表示を見て洗濯機で洗えることが前提です。 洗濯機で洗う場合には中性洗剤を用意して、次の手順で洗濯をします。
1. キャンバス生地のトートバッグなどを洗濯ネットに入れる
2. 手洗いコースまたはドライコースで洗い、脱水はしない
3. タオルに挟んで水分をとる
4. 軽くたたいてシワを伸ばした後、日陰で風通しのよい場所に干す
シワになってしまいやすいため、脱水機能は使わないという点に注意しましょう。
シワを伸ばして陰干しで!
キャンバス生地のシワを伸ばさないまま干してしまうと、そのままシワのある状態で乾いてしまいます。トートバッグなどは両手で軽く引っ張ったり、軽くたたいたりするなどして、できる限りシワを伸ばすのがポイントです。シワをしっかり伸ばしてから陰干ししてください。
日陰に干すのは、紫外線による影響で色が褪せてしまったり、黄ばんでしまったりすることを防ぐためです。また、プリント加工がしてある場合には、紫外線でプリントが傷んではがれやすくなってしまいます。裏返しにしてから干しましょう。
また、日陰に干した際に乾くまでに時間がかかってしまうと、雑菌の繁殖で臭いが気になることがあります。できるだけ風通しのよい場所を選びましょう。トートバッグの場合は、ハンガーを2つ利用して、それぞれに持ち手の部分を引っ掛けると、口を開いた状態で干せるので乾きやすいです。
アイロンは洗濯表示を確認
キャンバス生地の多くは高温でアイロンがけできます。ただし、素材によってはアイロンがけに対応していないものや、低温でのアイロンの使用に限られることがあるため、必ず洗濯表示を確認してください。また、プリントがついている場合には、はがれてしまうのを防ぐため裏返しにしてアイロンをかけます。
なお、洗って縮んでしまった厚手のキャンバス生地をアイロンがけで元の状態に戻すことは難しいです。
ブラッシングで汚れを落とす
衣類用のブラシでブラッシングする方法は、繊維に入り込んだホコリや花粉などの汚れを落とす用途に向いています。
キャンバス生地は一見きれいに見えても、繊維の隙間にホコリなどの汚れがたまっているものです。手ではたいただけでは落ちないホコリも、衣類用ブラシでのブラッシングでかき出して落とすことができます。
なお、衣類用ブラシには馬毛や豚毛といった種類がありますが、キャンバス生地であれば比較的安価な豚毛のタイプで十分です。ただし、ブラッシングの力が強すぎると生地を傷めてしまうことがある点に注意してください。
防水スプレーでキレイを保つ!
キャンバス生地は、洗うことで風合いが損なわれる可能性があるものです。そこで考えられるのが、あらかじめ防水スプレーをかけておくこと。雨などの水がしみ込むのを防げるだけではなく、汚れの防止にも役立ちます。
まとめ
トートバッグやスニーカーといったキャンバス生地のアイテムは、洗うこと自体はできる製品が多いですが、風合いが損なわれていく可能性が懸念されます。ブラシをこまめにかける、ちょっとした汚れは消しゴムで落とす、あるいは防水スプレーを使うといった方法も取り入れ、洗う回数を抑えるような工夫も考えてみましょう。